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原子力緊急時支援・研修センター
JAEA-Review 2023-026, 54 Pages, 2023/12
日本原子力研究開発機構は「災害対策基本法」及び「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」に基づき、指定公共機関(国や地方公共団体と協力して緊急事態等に対処する機関)として国及び地方公共団体等に対し、原子力災害または放射線災害への対処において、技術支援をする責務を有している。このため、日本原子力研究開発機構は原子力緊急時支援対策規程、防災業務計画及び国民保護業務計画を作成し、それらに基づき、原子力緊急時支援・研修センター(NEAT)は緊急時には支援活動の中心となり、全国を視野に入れた専門家の派遣、防災資機材の提供、防護対策のための技術的助言等の支援活動を行う。また、平常時には、我が国の防災対応体制強化・充実のための自らの訓練・研修のほか、国、地方公共団体の原子力防災関係者のための実践的な訓練・研修、原子力防災に関する調査研究及び国際協力を実施している。本報告は、原子力緊急時支援・研修センターが令和4年度に実施した活動実績を記載する。
永井 晴康; 茅野 政道*
点発生源からのメソスケール拡散シミュレーション; 福島第一原子力発電所事故をふまえて(気象研究ノート第248号), p.1 - 58, 2023/09
原子力機構は、国内外の原子力事故時に大気放出される放射性物質による影響を評価するために緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIおよびその世界版WSPEEDIを開発した。これらのシステムは、実際に発生した原子力事故への対応をはじめ、様々な大気拡散事象に応用され、多くの実績を上げてきた。ここでは、これらのシステム開発の経緯と概要、システムの検証、そしてシステムの利用実績について解説する。
原子力緊急時支援・研修センター
JAEA-Review 2022-044, 58 Pages, 2022/12
日本原子力研究開発機構は「災害対策基本法」及び「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」に基づき、指定公共機関(国や地方公共団体と協力して緊急事態などに対処する機関)として国及び地方公共団体等に対し、原子力災害または放射線災害への対処において、技術支援をする責務を有している。このため、日本原子力研究開発機構は原子力緊急時支援対策規程、防災業務計画及び国民保護業務計画を作成している。また、それらに基づき、原子力緊急時支援・研修センター(NEAT)は緊急時には支援活動の中心となり、全国を視野に入れた専門家の派遣、防災資機材の提供、防護対策のための技術的助言等の支援活動を行う。なお、平常時には、我が国の防災対応体制強化・充実のための自らの訓練・研修のほか、国、地方公共団体の原子力防災関係者のための実践的な訓練・研修、原子力防災に関する調査研究及び国際協力を実施している。本報告は、原子力緊急時支援・研修センターが令和3年度に実施した活動実績を記載する。
原子力緊急時支援・研修センター
JAEA-Review 2021-039, 98 Pages, 2021/12
日本原子力研究開発機構は「災害対策基本法」及び「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」に基づき、「指定公共機関」(国や地方公共団体と協力して緊急事態などに対処する機関)として国及び地方公共団体等に対し、原子力災害または放射線災害への対処において、技術支援をする責務を有している。この支援を行うため、原子力機構は原子力緊急時支援対策規程、防災業務計画及び国民保護業務計画を作成し、それらに基づき、原子力緊急時支援・研修センターは、緊急時には支援活動の中心となり、全国を視野に入れた専門家の派遣、防災資機材の提供、防護対策のための技術的助言等の支援活動を行う。また、平常時には、我が国の防災対応体制強化・充実のために、自らの訓練・研修のほか、国、地方公共団体の原子力防災関係者のための実践的な訓練・研修、原子力防災に関する調査研究及び国際協力を実施している。本報告は、第3期中長期計画(平成27年度令和3年度)に従って原子力緊急時支援・研修センターが実施した、令和2年度の活動実績を記載した(第1部)。また、原子力緊急時支援・研修センターが令和4年3月25日に発足20年を迎えることから、これまでの活動を振り返ってそのあゆみをとりまとめた(第2部)。
外間 智規; 藤田 博喜; 中野 政尚; 飯本 武志*
Radiation Protection Dosimetry, 196(3-4), p.136 - 140, 2021/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)原子力事故初期段階では、放射性物質が環境中に放出されるため、被ばくを回避・低減するために放射線防護対策を迅速に講じる必要がある。防護対策を講じるにあたり環境中の放射能濃度を把握しなければならない。しかしながら、プルトニウムなどのアルファ線を放出する人工核種は、ウラン壊変生成物などの天然核種による妨害のため、空気中の放射能濃度を測定することは困難である。したがって放射能濃度を測定するためには化学分離が必要であった。本研究では、化学分離を必要としない多重時間間隔解析(MTA)を用いた新しい緊急時モニタリングシステムを紹介する。このモニタリングシステムはアルファ/ベータ線サーベイメーターが組み込まれており、各放射線の検出時間間隔に注目した解析方法を採用した。このシステムは測定結果を算出するまでの時間が短く、取り扱いが容易で非破壊測定であることが特徴である。システムの検出限界は9.510 Bq mと見積もった。MTAを用いたモニタリングシステムは、試料の迅速な測定やスクリーニングが要求される状況で役立つと考えられる。
嶋田 和真; 高原 省五
JAEA-Review 2021-013, 142 Pages, 2021/09
米国では、原子力緊急事態に関する避難計画についてその有効性を確認するために避難時間推計(Evacuation Time Estimation: ETE)が行われ、原子力発電所の設置許可の要件や住民避難の意思決定に活用されている。本稿では、我が国における避難計画の実効性確保を目指したETEの活用に資するため、日本及び米国で実施されたETEの公開資料をレビューし、日本のETEの課題を検討した。日本のETEの公開資料は、2020年2月までの16の実施道府県の公開資料を入手した。米国のETEの公開資料は、2011年から2018年までの58のETEレポートを入手した。さらに、米国原子力規制委員会(U.S. Nuclear Regulatory Commission: NRC)のNUREG/CR-7002に基づいて、米国の原子力施設周辺の緊急時計画区域(Emergency Planning Zone: EPZ)に対するETEの概要を整理した。そして、内閣府(原子力防災担当)のETEのガイダンスに基づいて、予防的避難を準備する区域(Precautionary Action Zone: PAZ)及び緊急時防護措置を準備する区域(Urgent Protective Action Planning Zone: UPZ)に対する日本のETEの概要を整理し、米国のETEと比較した。日米のETEにおける避難準備時間を比較した結果、まず、日本のETEは施設敷地緊急事態(Site Area Emergency: SAE)から全面緊急事態(General Emergency: GE)までの間に住民の避難準備が完了していると仮定しているが、米国のETEにおける避難準備時間の長さの最大値は、鹿児島県のETE公開資料に記載されたSAEからGEまでの間の時間(3.5時間)を多くの米国のサイトで上回っていた。これより、日本のETEの課題として、PAZの住民の避難準備時間について、客観的な調査データに基づき確認することが挙げられる。次に、2011年に発行されたNRC及び米国連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency: FEMA)のNUREG-0654/FEMA-REP1, Rev.1 Supplement 3に基づいて、緊急事態における日本のETEの活用を検討した結果、日本のETEは、避難範囲の90%の住民が避難を完了する時間と100%の住民が避難を完了する時間のどちらか一方しか示されていない場合が多く、ETEを緊急時の避難の意思決定に使用するためには、米国と同様にETEの入出力を統一する必要性がある。最後に、自主避難がETEに与える影響を比較した結果、米国よりも日本の方が自主避難の影響が大きいことが示唆された。
玉井 広史
日本原子力学会誌ATOMO, 63(9), p.677 - 678, 2021/09
国際原子力機関(IAEA)は、原子力安全と核セキュリティの相互補完を通じた強化の上で必須となる両者のインターフェースに関する各国のアプローチについて技術報告書を発出した。報告書は加盟国への良好事例に関する知見提供を目的として、両者のインターフェースの調整において重要な、法規の枠組み,原子力施設,放射線源,文化醸成,緊急事案への準備と対応のそれぞれについての各国の事例、分野横断的な課題の6項目をテーマとしてまとめている。
寺田 宏明; 永井 晴康
Isotope News, (775), p.44 - 48, 2021/06
国内の原子力緊急時に迅速に放射性物質の大気拡散予測情報を提供するための緊急時対応システムとして、旧日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構、以降「原子力機構」)は、緊急時環境線量情報予測システム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information: SPEEDI)を開発し、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」として文部科学省により運用された。その後、原子力機構では、計算範囲の拡大と高度な気象及び拡散計算モデルの使用により予測性能を向上した世界版SPEEDI (WSPEEDI: Worldwide version of SPEEDI)を開発し、様々な応用研究を行ってきた。筆者らは、2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故に対して、このWSPEEDIの活用により様々な対応を実施してきた。この経験に基づき、様々な気象条件や任意の放出条件に対する大気拡散計算結果を即座に取得でき、様々な応用が可能な大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを開発した。本稿では、WSPEEDI-DBの開発の経緯と本システムの概要について述べる。
武石 稔
JAEA-Review 2020-077, 388 Pages, 2021/05
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、試験研究用原子炉施設、ウラン濃縮施設、MOX 燃料加工施設、使用済核燃料再処理施設など、様々な種類の原子力施設に係る研究・開発を行ってきた。これらの原子力研究開発施設周辺において、環境監視、環境放射線モニタリングは、周辺住民の安全と安心を確保する上で無くてはならないものである。本報告は、これらの原子力施設周辺の環境放射線モニタリングにおける筆者の長年の経験や最新の情報に基づき、計画から評価までの考え方や手法を包括的にまとめたものである。内容としては、環境放射能の調査研究にかかる歴史、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告における公衆の放射線防護の考え方、放射線や放射性核種の環境中での移行、特に被ばく経路などの基本的な知識、モニタリング計画の立案、放射線測定の方法や放射線測定機器類、環境試料の分析技術、品質保証など、重要と思われる基本的な技術情報を取り上げた。また、環境放射線モニタリングの対象としては、空間線量の測定、大気、降雨雪、降下じん、飲料水、河川水、湖沼水、土壌、河川や湖沼の堆積物、野菜や牛乳、牧草などの陸上環境試料、並びに海水、海底土、海産物等の海洋環境試料の分析・測定技術、測定結果の評価、施設寄与の検出や弁別と公衆の代表的個人に係る線量評価手法などについて記載した。また、チェルノブイリ原子力事故に伴う特別環境モニタリングや東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所事故における緊急時モニタリングについて、JAEA が関係した実績を中心に紹介する。最後に、環境影響調査研究などに関して筆者が関係したトピックスを付記した。
原子力緊急時支援・研修センター
JAEA-Review 2020-016, 67 Pages, 2020/09
日本原子力研究開発機構は災害対策基本法及び武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(以下「武力攻撃事態対処法」とする。)に基づき、「指定公共機関」(国や地方公共団体と協力して緊急事態などに対処する機関)として国及び地方公共団体等に対し、原子力災害または放射線災害への対処において、技術支援をする責務を有している。この支援を行うため、日本原子力研究開発機構は原子力緊急時支援対策規程、防災業務計画及び国民保護業務計画を作成し、それらに基づき、原子力緊急時支援・研修センターは、緊急時には支援活動の中心となり、全国を視野に入れた専門家の派遣、防災資機材の提供、防護対策のための技術的助言等の支援活動を行う。また、平常時には、我が国の防災対応体制強化・充実のために、自らの訓練・研修のほか、国、地方公共団体の原子力防災関係者のための実践的な訓練・研修、原子力防災に関する調査研究及び国際協力を実施している。本報告は、第3期中長期計画(平成27年度令和3年度)に従って原子力緊急時支援・研修センターが実施した、令和元年度の活動実績を記載する。なお、令和元年度は2019年5月1日から2020年3月31日まで(2019年4月1日から4月30日までは平成31年度)であるが、2019年4月1日から4月30日の実績も令和元年度の実績に含めた。
普天間 章; 眞田 幸尚; 古宮 友和; 岩井 毅行*; 瀬口 栄作*; 松永 祐樹*; 河端 智樹*; 萩野谷 仁*; 平賀 祥吾*; 佐藤 一彦*; et al.
JAEA-Technology 2019-017, 95 Pages, 2019/11
2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より放射性核種の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。今後も本モニタリング技術を原子力発電所事故時における緊急時モニタリングに活用し、そのモニタリング結果を迅速に提供することを目指している。そのために、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、空域情報等の情報を整備している。2018年度は島根原子力発電所および浜岡原子力発電所周辺について航空機モニタリングを実施した。本報告書は、その結果および実施によって抽出された技術的課題についてまとめたものである。
藤原 健壮; 柳澤 華代*; 飯島 和毅
Environmental Radiochemical Analysis VI, p.89 - 96, 2019/09
ストロンチウム90は核分裂生成物のうち収率と毒性が高いため、環境試料の測定では低濃度での測定が必要となる。特に事故時においては迅速な環境モニタリングと健康影響の評価が必要である。環境中の放射性核種の移行挙動の評価のためには、溶液のみならず、生物や土壌中の分析が必要である。溶液中におけるストロンチウム90のICP-MSによる迅速分析手法が近年確立されている。しかしながら本手法では、土壌や魚等の分析については、同位元素や対象外物質を多く含むため、重核が測定に影響を与えるなどの理由によりまだ確立されていない。よって本研究では、魚や土壌中に含まれるストロンチウム90の分析手法をっかうりつするため、ストロンチウムの同位体やカルシウムのような共存イオンの影響を評価した。
普天間 章; 眞田 幸尚; 岩井 毅行*; 瀬口 栄作; 松永 祐樹*; 河端 智樹; 豊田 政幸*; 飛田 晋一朗*; 平賀 祥吾*; 佐藤 一彦*; et al.
JAEA-Technology 2018-016, 98 Pages, 2019/02
2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。福島で培った航空機モニタリングの技術を原子力発電所事故時の対応技術として適用するために、全国の発電所周辺のバックグラウンドモニタリングを実施した。2017年度は泊発電所, 柏崎刈羽原子力発電所および玄海原子力発電所周辺について実施した。ここでは、その結果および実施によって抽出された技術的課題についてまとめる。
眞田 幸尚; 森 愛理; 岩井 毅行; 瀬口 栄作; 松永 祐樹*; 河端 智樹; 豊田 政幸*; 飛田 晋一朗*; 平賀 翔吾; 佐藤 義治; et al.
JAEA-Technology 2017-035, 69 Pages, 2018/02
2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。福島で培った航空機モニタリングの技術を原子力発電所事故時の対応技術として適用するために、全国の発電所周辺のバックグラウンドモニタリングを実施した。2016年度は、大飯・高浜原子力発電所及び伊方原子力発電所周辺について実施した。ここでは、その結果及び実施によって抽出された技術的課題についてまとめる。
川妻 伸二
デコミッショニング技報, (54), p.24 - 33, 2016/09
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震とその後の大津波により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年が経過した。福島第一原子力発電所の事故では放射性物質が大量に放出され、原子炉建屋内部の空間線量率が高く、廃止措置のために作業員が原子炉建屋内への立入りや長時間作業は、極めて困難な状況である。作業員に替わって廃止措置の作業を行う、遠隔技術の開発が必要となり、その技術開発を加速するため、日本原子力研究開発機構は楢葉遠隔技術開発センターを建設し、2016年4月から本格運用を開始した。あわせて、遠隔操作機器・装置の開発を支援するロボットシミュレータやロボット性能試験法の開発を行っている。さらに、原子力緊急時遠隔機材の整備・運用も行っている。
茅野 政道; 安達 武雄
日本原子力学会誌, 45(5), p.296 - 301, 2003/05
緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIは1979年の米国スリーマイル島原子炉(TMI-2)事故を契機に開発が進められた。これが第1世代SPEEDIであり、国内原子力施設の事故に対応する文部科学省のシステムとして実運用されている。第2世代のSPEEDIである世界版SPEEDI(WSPEEDI)は、国外事故の我が国への影響をリアルタイムで評価することを目的としたもので、その開発はチェルノブイリ事故起因の放射性物質が我が国でも検出されたことがきっかけとなっている。また、WPSEEDIの開発と並行して、気象予報機能の改良を主目的としたSPEEDIの高度化も行われている。現在、SPEEDIは第3世代のSPEEDIであるSPEEDI-MPの開発に進展している。ここでは、大気中での問題を対象としていた従来版を、海洋拡散や土壌面への放射性物質の移行まで包括的に扱えるように改良することを目的としている。このような研究開発の間、チェルノブイリ事故,旧動燃再処理施設の火災爆発事故,JCO事故,三宅島の火山ガス噴出等、さまざまな事故放出にSPEEDIを適用し事故調査に貢献するとともに、信頼性の検証を行ってきた。本解説では、以上の研究開発の歴史や、実事故への適用例について概説するとともに、SPEEDI-MPを中心にした今後の展開について述べる。
橘 晴夫; 山口 武憲; 松岡 俊吾*; 根本 慎太郎*; 黒澤 直弘*
Proceedings of 1st Asian and Oceanic Congress for Radiation Protection (AOCRP-1) (CD-ROM), 7 Pages, 2002/10
日本原子力研究所東海研究所では、14基のモニタリングポストと4基のモニタリングステーションによる空間線量率及び大気中放射能濃度の連続測定,排水溝モニタ(2基)による排水中放射能の連続測定,気象観測設備による風向風速等の気象観測を行っている。測定結果は、環境放射線監視システムにて連続監視が行われている。環境放射線監視システムでは、原子力施設からの異常放出等の監視を行うため、測定データの異常時には環境監視員への自動通報が行われてきた。当研究所で整備した遠隔監視システムは、携帯電話の画面に環境監視データを数値及びグラフで表示することができるため、環境放射線監視員及び原子力防災関係者は何時でも何処に居ても環境監視データを確認することが可能である。このシステムの活用により、原子力施設の異常時における環境影響の有無の判断を迅速かつ的確に行うことができる。また、国や地方自治体関係者への早期通報,防災体制の構築,防災対策の策定に役立つことが期待できる。
村松 一弘; 今村 俊幸; 北端 秀行; 金子 勇; 武宮 博*; 長谷川 幸弘*; 山岸 信寛*; 平山 俊雄
計算工学講演会論文集, 6(1), p.241 - 244, 2001/05
インターネットなどのネットワークで接続された複数の計算機資源を高性能な仮想並列計算機とみなし、この広域分散計算機環境上で大規模な科学技術計算を実行しようという試みが考えられる。いわゆるメタコンピューティング実験である。筆者らはこの考えにもとづき、広域分散計算環境上に緊急時放射能放出源推定システムを実装して、その計算結果で実時間で可視化し、ユーザのPC上で表示するシステムを開発した。これにより、ユーザは放射能漏れ事故における放射能放出源計算の評価及び推定が短時間で可能になり、本システムの開発はリスク・マネージメントに対する貢献が大きいと考えられる。本論文では、このシステムの構成及びアメリカで開催されたSC2000における実験について報告する。
松永 武; 小林 健介
保健物理, 36(1), p.31 - 44, 2001/03
安定ヨウ素剤の投与は原子力施設の緊急時における初期防護対策の1つである。安定ヨウ素剤を投与した場合の甲状腺の内部被曝線量には、放射性ヨウ素の物理化学的性状に加えて、身体的因子が密接に関連すると考えられる。そこで、安定ヨウ素剤の日本人における投与効果を検討するために、日本の身体的因子を考慮したパラメータ感度解析を実施して次の点を明らかにした。その結果、放射性ヨウ素エアロゾルの呼吸器系ほの沈着割合に関しては、日本人パラメータとICRP新呼吸器系モデルの欧米標準人パラメータによる相異よりも放射性ヨウ素エアロゾル粒径への依存性が大きいことがわかった。甲状腺被曝線量回避率に関しては、血液中のヨウ素が甲状腺へ移行する速度を規定するパラメータの感度が高いことがわかった。以上の感度解析により、安定ヨウ素剤投与効果の変動範囲に影響の大きなパラメータを同定した。
松永 武; 小林 健介
Proceedings of 10th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-10) (CD-ROM), 10 Pages, 2000/05
安定ヨウ素剤の投与は、原子力施設の緊急時における甲状腺被曝の低減のための初期防護対策の1つである。安定ヨウ素剤を投与した条件下での放射性ヨウ素の吸入による甲状腺の内部被ばく線量に関係する種々のパラメータの感度解析を行った。日本人は、欧米人に比較して海草を多食することにより日常のヨウ素摂取が欧米人よりも多い。そこで、欧米人とは異なり得る日本人に対する安定ヨウ素剤の投与効果の大きさとその変動範囲の推定をICRPのヨウ素の代謝モデルと同等のモデルに基づいて行った。解析に用いた日本人における代謝パラメータは、1930年代以降の国内文献の広範な調査に基づいて推定した。解析の結果、日本人・欧米人の相違により生ずる、呼吸器系において放射性ヨウ素が捉えられる割合の差は数%以内と小さなことが明らかとなった。甲状腺被ばく回避率に関しては、血液内のヨウ素が甲状腺へ移行する速度を規定する代謝パラメータの感度が高いことがわかり、今後、この移行過程をさらに日本人について検討すべきことが明らかとなった。また、日本人の場合には回避率の大きいは欧米人に比較してやや小さなことが推定されるが、放射線ヨウ素の吸入による線量換算係数が日本人では欧米人に比較して小さいと考えられるために、甲状腺への放射線影響は日本人・欧米人であまり大きな差は生じないことが示唆される。